yutaka027’s diary

【閲覧注意】詩的表現の多々

夢だよ

ぼくは母と手をつないで歩いていた。母の手を強く強く握りしめていた。
空は大気の汚れで黄ばんで濁り、きびだんごのような色をしていた。晴れているのか、曇っているのかわからない。暑くも寒くもなく、ただ生ぬるい風が二人の間を通り過ぎていく。
ここは大都会のようだ。変な形のビルがたくさん立っている。でも不思議なことに人があまりいない。大都会ならサラリーマンとか観光を楽しんでいる人とかで賑わっているはずなのに。今の時点で目に映るのはくたびれた背広を重そうに身にまといながらため息を何回もしているおじさんと十メートル先にある、今にも壊れそうな木のベンチに腰掛けている松葉杖を持ったおばあさん。
「なんかきもち悪い」ぼくはうつむいたまま母に言った。
母とぼくは近くの変な形のビルの中に入ることにした。
そこは外とは裏腹に営業マンたちがたくさんいて、売上を競い合ってる。そさっきよりも強く、母の手を握った。
ビルの中の人たちはみんな必死そうで怖い顔をしていた。だから外に出た。
 しばらく歩いていると、道沿いに花壇があり、白いパンジーが咲いていた。潤んだ花びらにはまだ水滴がついていて、宝石みたいに綺麗だった。となりの花壇も覗いてみるとまたちがう光景が広がった。ぼくは言葉を失ってしまった。黄色いパンジーが咲いているのだが、水を明らかにあげ過ぎていて土が浮いてしまっている。それにパンジーの体内水分が飽和し、葉はげんなりし、茎はすっかり首を曲げている。
「こんなことしたの、だれだ」ぼくは思わず叫んだ。
するとどこかから、機械の音が聞こえるのに気がついた。花に気が取られていたが、きっとさっきから鳴っていたと思う。キキキキとかチリチリじゃなくて、もっと人間の動きに近い、グググっていう鈍い動作の音。
振り返るとそこには花に水をやる、動くロボットがこちらを見ていた。
 「あっ」
ぼくは小さく悲鳴をあげた。
離れることなくずっと手を繋いでいたくせに、見ていなかった母の顔を見てさらに叫んだ。それからは記憶がない。

目を覚ますと体中に汗をかいていた。そしてぼくは何十年後かの歪んだ世界を見てしまった。イライラした人間がたくさんいてロボットがそれを解決するという、なんとも不条理な世の中だった。そしてなにを信じていいのかわからなくなった。そして自分すらなんなのかわからなくなっている。
 最近の日本は画一化が進んでいる。それは義務教育に問題がある。みんな同じ制服で同じ椅子に座り、同じ机で同じ勉強をする。その中でほんの少しでもルールから反すれば罰せられる、ということまでも教育の一環なのであり、守らねばならない。そして自分の得になるニュースにだけ食いつく。不都合になればポイ捨て。人のことなんてどうでもいい。結果、自分のことだけにしか興味が持てない人間が大量に増える。この世の中で、唯一信じられるものといえば、音楽と文学くらいしかない。