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yutaka027’s diary

ゆるりと書くよ

踏みつぶされたチューリップ

朝のコンビニ11時
女が泣きながらレジにくる
両目が真っ赤に腫れた女は飲むヨーグルトを買うと急いで店を出た

車の中で
誰にも聞こえないことをいいことに狂ったように大声をだす

クッククククッ

クッククック
狂ったように歌いながら
泣く
車はそのままのスピードで走り続ける
止まらない
やっとのことで降りたら
目的のとこには行けず
近くの汚いアパートの隅で
泣く
くやしい
優しい心を持った人間なのに
くやしい
路上にゴミを投げ捨てるなんて
くやしい

くやしい
モノに罪なんてないのに
くやしい
と言いながら女は自分の携帯ケースを携帯から乱暴に剥がし
次々と分解していく
バリバリと痛々しい音を立てながら
携帯ケースは地下へと続く階段の上から落ちていく
泣いたティッシュのゴミも
思い出に挟んであった映画のチケットも
全部すてた
さっきのコンビニで買った飲むヨーグルトもフタを開けて
中身を路面に開け放し
最後に空っぽのカップを階段の上から落とした
携帯は買ったばかりの裸になった
こんなにくやしいのになんにも言えないなんてありえない
自分がありえない
コンビニのトイレで泣き崩れる
ありえない
手のひらに爪の後が鮮やかに残って
そこに優しい風が吹きずきっと疼く


ゴミを拾わなきゃ

そんな善意が心のどこかでざわつく
こんなに心は灰のように乾ききって
今すぐにでも風に乗ってカンタンに

移動してしまいそうなのに
だれかが後ろからやってきて
黙ってゴミを拾ってビニール袋に入れてから
私を無条件に抱きしめてくれる人なんて
現れることもなく

自分の手で
ひろう
右手が痛い
車の排気音が聞こえ
人の明るく話す声がすぐそばで聞こえる
生活の一部の音が聞こえる
そのそばで
足元に落ちてる
分解された携帯ケースが
カラッと小さく

鳴って一段下に降りていった

 

                     ♪Goodbye to you - Michelle Branch